医療法人 双葉会 富雄産婦人科

〒631-0074 奈良市三松4丁目878-1

電話番号:0742-43-0381

Fertility treatments

高度生殖医療とは

患者様一人一人に、
最適な治療法を

高度生殖医療とは「体外受精」「顕微授精」「胚移植」のことを言います。一般不妊治療で妊娠に至らない場合、卵管が閉塞している場合、
精液所見がよくない場合、検査により必要と判断された場合に行います。
当院では患者様一人一人のご希望をお伺いした上で、
最適な治療法をご提案いたします。

適応

卵管性不妊 卵管閉塞や卵管通過障害があり、精子と卵子が出会えない
免疫性不妊 抗精子抗体があり、受精が出来ない
男性不妊 精子が少なく受精することが出来ない
内膜症性不妊 内膜症による癒着や慢性炎症により不妊症となる
原因不明不妊 検査で異常がないのに、妊娠が出来ない

治療の流れ

  • 調節
    卵巣刺激
  • 採卵
  • 受精
  • 胚培養
  • 胚凍結
  • 胚移植
  • 調節卵巣刺激

    通常は1回の月経周期で1つの卵子のみが成熟しますが、1回の月経周期で複数個の卵子を発育させることができれば妊娠の可能性が大きく上昇します。そのため生殖補助医療では複数個の卵子を獲得するために内服薬や注射薬を使用します。

    調節卵巣刺激の方法は低刺激法から高刺激法まで様々ですので、患者様一人一人にあった最善の方法をご提案します。

  • 採卵

    調節卵巣刺激により成熟した卵子を採取します。
    専用の針を使用し、超音波で確認しながら卵巣を刺して卵子を採取します。
    採卵の際には、点滴から麻酔薬を流して麻酔を行う静脈麻酔と痛み止めを投与して行う局所麻酔のいずれかを選択して頂きます。

  • 受精

    採取した卵子と精子を受精させる方法には、適度な濃度に調節した精子を卵子と一緒の容器に入れて精子が自ら卵子に侵入することで受精が起こる「体外受精」と呼ばれる方法と、顕微鏡をみながら精子を卵子の中に注入する「顕微授精」があります。精子の状態がよくない場合や受精障害が疑われる場合に「顕微授精」を行います。

    conventional(体外受精)
    conventional(体外受精)
    ICSI(顕微授精)
    ICSI(顕微授精)
  • 胚培養

    採卵翌日に受精確認をします。
    受精が確認された受精卵を胚と呼びます。

    胚が2-3日目の「初期胚」、もしくは5-6日目の「胚盤胞」という状態まで細部分裂を繰り返しながら発育していく過程を観察します。

    当院ではタイムラプス型インキュベータを使用します。

  • 胚凍結

    胚の凍結とは、体外受精や顕微授精で得られた胚を凍らせることで長期間保存する方法です。特殊な溶液に胚を浸した後に、液体窒素で凍結し、液体窒素のタンク内で厳重に保存します。

    一度の採卵で複数個の胚が凍結できれば、二人目や三人目をご希望された場合にも、凍結胚を融解して胚移植させて頂くことが可能です。

  • 胚移植

    胚移植はこれまでのステップで得られた大切な胚を子宮の中に戻す(移植する)重要なステップです。胚移植には新鮮胚移植と凍結融解胚移植があります。新鮮胚移植は採卵した周期と同じ周期で胚を移植します。凍結融解胚移植は、凍結保存しておいた胚を融解して移植します。

    凍結融解胚移植による妊娠率が、新鮮胚移植による妊娠率と比べて約10%高いと言われており、当院では凍結融解胚移植を第一選択としています。しかし、ホルモン状態が良い場合には新鮮胚移植を選択して頂くこともあります。

    さらに、凍結融解胚移植にはホルモン剤を使用して子宮内膜を育てるホルモン補充周期と自然の排卵に合わせる自然周期があります。このように移植方法には様々な方法がありますので、患者様一人一人にあった最善の方法をご提案します。

当院の特徴

タイムラプス型インキュベータ

奈良県初 Vitrolife社EmbryoScope+
タイムラプス型インキュベータ導入

当院ではより高い成功率を目指して、奈良県初となるVitrolife社のEmbryoScope+タイムラプス型インキュベータと、不妊治療の最先端技術とも言えるAIによる胚の自動スコアリングシステムiDAScoreを導入しました。タイムラプス型インキュベータでは患者様の大切な胚を何度も外に出すことなく、最適な環境で培養し、成長の様子を24時間見守り詳細に観察できます。胚の発育過程を連続的にモニタリングできるため、胚の最適な移植・凍結タイミングの判断が可能となります。

  • EmbryoScope+

EmbryoScope+の特徴とメリット

従来の方法では胚培養士が培養1~6日目の間に4~5回ほど胚の保管庫であるインキュベータから取り出して観察し、胚の評価を実施していました。この場合、胚を一時的に外に取り出すため、光への暴露、温度変化、pH変化を受けることで胚の発育に影響を及ぼす可能性があります。

従来のインキュベータ

従来のインキュベータ

EmbryoScope+タイムラプスインキュベータにはカメラと顕微鏡が搭載されており、胚培養士にかわり10分毎に胚の画像を自動的に撮影します。胚の保管庫であるインキュベータ内から取り出すことなく、胚にストレスを与えずに培養と観察をすることが可能となります。タイムラプスインキュベータの使用により生産率の向上と早期流産率の減少が報告されています。

継続妊娠率と生産率の向上及び早期流産率の減少のグラフ

AIによる胚の自動スコアリングシステムiDAScore

AIを活用した胚の自動スコアリングシステムを導入し、より精密で信頼性の高い胚評価が可能となりました。人間の目では見逃してしまう微細な違いも、AIは的確に捉え、胚の成長過程を精密にスコアリングするため、最適な移植・凍結タイミングを判断し、より着床率の高い胚を選択することが可能となります。iDAscoreは医師や胚培養士の判断をサポートするツールとして活用され、最終的な判断は医師・胚培養士が行います。

AIによる胚の自動スコアリングシステムiDAScoreの解説

先進医療

タイムラプス撮影法による受精卵・胚培養は先進医療となり、30,000円(非課税)になります。
当院は厚生局の認可を受けています。

最新のレーザーと顕微鏡を導入

体外受精では、レーザーを用いて胚の周りにある透明帯を切開することで着床しやすくなります。「レーザーで透明帯の一部に切れ込みを入れる」、「レーザーで透明帯を薄くする」、「レーザーで透明帯を全て取り除く」など、施設により様々な方法があります。 当院では「レーザーで透明帯を全て取り除く」処理を行っています。
最新のレーザーを導入していますので、胚への熱の影響を最小限にすることが可能です。

自然災害時の対応

当院では会社名シーエープラントGenerac非常用発電機を採用しております。
災害による停電が発生した場合でも、10秒で自動稼働し、電気を供給できるシステムを導入しております。停電が発生した場合でも患者様の大切な胚・卵・精子をお守りいたします。

特殊な技術について

スプリット法
採卵で得られた卵子の半分には「一般体外受精」を、残りの半分には「顕微授精」を行う方法です。受精障害が約10%の確率で起こるため、初回採卵時にスプリット法を行う場合があります。
孵化補助術
胚の外側には透明帯と呼ばれる膜があります。胚が着床する直前には、胚自体が透明帯を脱出(孵化)して着床に至ります。しかし、様々な理由によりこの膜が硬くなることで孵化しにくくなる可能性があります。そのため、レーザーで透明帯を取り除くことで、胚が着床しやすくなることが期待できます。
卵子活性化 Caイオノフォア
「顕微授精」を行っても受精しない場合は、卵子の活性化を起こすためにCaイオノフォアを使用することで受精が期待できる場合があります。